概要
10-groveから2016年にリリースされたPC向け女性向け超能力モノ学園恋愛ADV
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細部まで凝って作りこまれており、プレイする者へのサービスに感動を覚えます!
物語は主人公(名前変更可)が陽ノ下学園という高校に入学するところから始まります。陽ノ下学園は自由な校風が売りの進学校ですが、放課後の部室でこっそりと「超能力者」達が集まって怪しげな集会を開いているという噂がありました。あまり勉強が得意ではない主人公が猛勉強してまで陽ノ下学園へ入学した目的、それはその噂の真偽を確かめることでした。
その頃、街では、高校生を狙った通り魔事件が頻発していました。母から気を付けるよう注意を促されながらも自分事とはとらえていない主人公でしたが、入学式の夜、人が超能力で襲われる「夢」を見ます。実は、主人公は幼い頃より「夢」で見たことが現実になる「予知能力」を持っていました。
人が襲われる夢が現実に起きることなのか確かめるため、主人公は幼馴染の一色と一緒に夢で見た現場へと向かいます。そこで夢は現実のものとなり、襲われている人を助けに入ろうとする主人公の前に3人組の男性が現れ、非現実的な力を使って犯人を撃退します。彼らこそ、主人公が探していた陽ノ下学園の「超能力者」たちだったのです。3人は非公式のESPサークル(超能力サークル)として活動しており、自らの力を制御することを望んでいた主人公は入部することを決めます。
頻発する通り魔事件を追う中で、主人公はESPの仲間や通り魔事件にかかわる人々と触れ合い、時にぶつかり時に助け合うことで心を通わせていきます。そして、抗うことのできな大きな渦に巻き込まれ、自らの力と運命に立ち向かっていくことになります。
攻略キャラクターは6名です。お互いに超能力持ちであるという秘密を唯一共有する幼馴染の一色庚(いっしきかのえ)、派手で変人と名高い綾奈光輝(あやなこうき)、学年トップの新島国弘(にいじまくにひろ)、転校生の常野響介(とこのきょうすけ)、街で不良に絡まれているところを助けてくれた葉渡宗二(はわたりそうじ)、街で出会う謎の少年・東雲凪(しののめなぎ)です。綾奈と新島と常野の3人がESPサークルに所属する先輩で、一色は主人公に付き添う形でESPサークルに入部することになります。
いずれもの攻略キャラクターも魅力的でそれぞれのルートも素晴らしいのですが、その根幹には主人公がとても好感の持てる人物であるということがあると思います。勉強は得意ではないし、寝坊もするし、特別可愛かったりするわけではありません。幼い頃は能力に振り回され、そのせいで周囲に気味悪がられたりもしていました。しかし、能力に振り回されないよう向き合おうとする姿勢や、「予知夢を見て見ぬふりはしたくない。」「自分が行動することで変えられる未来があるかもしれない。」「予知能力というわけのわからない力でも誰かの役に立つなら使いたい。」という主人公の優しさや芯の強さには、とても好感が持てます。
ゲームの基本的な流れは、文章を読み、選択肢を選び、物語を進めていく形になります。選んだ選択肢によってルートやエンディングが変化し、エンディングは各攻略キャラクターのノーマルとトゥルーの2種類、共通エンド、特殊エンドの計14種類です。周回プレイ必須ですが、豊富なイベントとスキップや前の選択肢に戻るなどの快適なシステムのおかげで、全く苦痛は感じません。
本作はゲーム内容もさることながら、おまけ要素の充実ぶりも圧巻です。CGギャラリー、イベント回想、BGM鑑賞、エンディングリスト、主人公や攻略キャラクターのプロフィールや立ち絵、表情の閲覧に加えて、各攻略キャラクターの部屋に訪れて各キャラクターへ話しかけることができたり、後日談と8年後のエピソードが用意されていたりと、圧倒的なボリュームとファンサービスぶりに頭が下がります。個人的にはCGギャラリーがそれぞれのキャラクター毎にアルバム形式で用意されており、それぞれのキャラクター毎にらしい形がとられていたり、同じCGでも攻略キャラクター側はこう思っていたのかというコメントがついていたりすることもあり、非常に細部まで凝って作られている点に感動しました。
フリーゲームとは思えない圧倒的なボリュームとクオリティというだけでも素晴らしいのですが、更に製作者様の作品への愛、プレイする者への細やかな心配りとサービス精神に感動を覚える本作。学園ものや超能力ものがお好きな方は勿論、少しでも気なる方は是非プレイしてみてください!