概要
ラッセルから2009年にリリースされたPS2向け女性向けアドベンチャーゲーム
詳しくはこちらから
練りこまれた設定と重厚なストーリー
舞台は第一次世界大戦当時を彷彿させるヨーロッパ大陸、人類は「飛行機」を発明し、翼を手に入れました。しかし、各国家間の対立が深まる中、「飛行機」は新たな兵器としての価値を見出され、戦争の様式を変える程の影響力を持ち始めていました。
物語は主人公・エリカ(名前変更可)が陸軍の第一独立小隊・通称ロビュ小隊へ見習い整備士として配属されるところから始まります。エリカの家は自動車整備士で彼女自身もそうでしたが、父は「整備の神」と呼ばれているほどの腕の持ち主であったためか、ある日父宛に陸軍航空小隊の航空整備兵になるよう要請が届きます。年老いた父に無理をさせたくないエリカは、父に代わり自分が航空整備兵になるためにロビュ小隊へとやってきたのでした。
やってきたエリカに対し、快く迎えてくれる者もいましたが、一方で「女」「子供」「素人」であることに落胆したり侮ったりする者もいました。エリカも飛行機に関しては素人なのは自覚しており、配属前に少しでも知識を得ようと試みていましたが、そもそも飛行機に関することは最先端秘術で秘匿性も高いため、いち民間人に過ぎないエリカがその情報を得ることはできませんでした。そんな厳しい状況の中、エリカは毅然と口を開きます。「私は整備兵としてここに来ました。だから早く仕事をさせてください」と。
エリカは一人前の整備士を目指しながら、パイロットや小隊の仲間と触れ合い絆を育んでいくことになります。飛行機について熱心に学び、日々努力を重ねるエリカの姿に、侮っていた者たちも徐々に認めてくれるようになっていきます。そして、エリカは整備班の親方をして「技術はそこそこ、分別と度胸は一人前、根性と好奇心は人一倍」と評される程になりますが、そんな日々の中、大陸にくすぶり続けていた争いの火種が今また燃え上がろうとしていました。
攻略キャラクターは、下記の7名+隠しキャラクター1名の8名です。下は年下の少年から約30歳年上の男性までと非常に世代の幅が広くなっています。
▼ルカ・フォルゴーレ(CV:阿部敦):誠実で真面目な同期のパイロット
▼コリン・グレイディーア(CV:浜田賢二):ナンパな性格だが腕の良いパイロット
▼オズウェル・アグスタ・ウエストランド(CV:前野智昭):女である主人公を快く思わない先輩整備士
▼クラウス・ウーデット(CV:藤原啓治):元パイロットの厳格な副司令
▼アレック・ユーティライネン(CV:小山力也):温厚で男だらけの中に放り込まれた主人公を気にかけてくれる補給班の伍長
▼セルジュ・フォンク(CV:代永翼):飛行機に憧れる街の食堂「フォンク亭」で働く少年
▼ヨハン・レーヴェンハルト(CV:日野聡):隣国の帝国出身の旅人
本作の最大の魅力は「シナリオ」にあると思っています。ゲームシステムは選択肢を選んだりアドベンチャーパートで行く場所を選択する形で1章ずつ進んでいき、選択によってストーリーやエンディングが変わるマルチストーリー&マルチエンディングと、乙女ゲームでは比較的多い形です。絵も恐らく好みが分かれるところだと思います。
しかし、飛行機の設計や架空の戦記などの練りこまれた設定、戦争や戦闘というテーマを正面から受け止めつつもしっかりと仲間との絆や大切な人との愛を育む重厚なストーリー。時に信じていた仲間の裏切りにあうこともありますし、仲間や大切な人を失うこともあります。その決して甘いだけではないところや、ご都合主義ではすまないところこそ、本作が心に残る良作である由縁であると感じています。
硬派な乙女ゲームがお好きな方は是非プレイしてみてください!