概要
ADELTAから2020年にリリースされたPC向け昭和×ヒーロー×大怪獣R18BLG
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次々と起こる怪事件に巻き込まれる史郎。彼が生き抜いた先にあるのは愛か死か?
※注意※
『古書店街の橋姫』を制作した「ADELTA」から発売になった最新作「ウウウルトラC」の第二話プレイ終了後の感想になります。
主人公三人のうち、二人目の主人公、ヒーローと怪獣双方を憎む「史郎」ルートをプレイしました。プレイ時間は3時間程です。
史郎ルートは「怪奇ミステリー」ということで、「ヒーロー」や「怪獣」が登場する本作においては少し異色な印象を受けるテーマです。史郎は本業はカメラマンですが、ひょんなこととから、「怪獣を探して欲しい」とか「怪獣に奪われたものを取り返して欲しい」といった「探偵」の様な依頼を受けることになります。そんな中、史郎のクセの強い人間性が引き寄せるのか、次々と変態な怪獣に襲われ、インモラルでアダルトな怪事件に巻き込まれていく展開は正に「怪奇ミステリー」!気になって先へ先へと物語を読み進めてしまいました。
史郎には幼い頃に児童映画撮影で出会った美少女「ベルちゃん」という想い人がおり、史郎は彼女を運命の相手と一途に思い続けて清い身を保っています。しかし、大人になり偶然再会を果たした「ベルちゃん」は、女性ではなく、一色鈴と名乗る身長193cmでヒールを履く大柄なオネエだったのです。
史郎は幼い頃に怪獣に襲われ、両親と弟を殺され、「ベルちゃん」の顔を傷つけられていました。史郎が怪獣に襲われた当時は、まだ多発する怪獣に対応できるヒーローが不足しており、正義のヒーロー「イカロス」は既に存在はしていましたが、史郎たちを助けてくれることはありませんでした。
その経験や次々と巻き込まれる怪事件もあり、史郎は「イカロスは、場所・時・被害者を選んで怪獣から人々を助けているのではないか」と仮説を立てて、皆が頼りにし慕うヒーロー・「イカロス」の真実を追っていきます。
一方、史郎の想い人のベルちゃんであった一色は、白いイカロスとして暗躍していました。イカロスは通常「赤色」なのですが、一色はイカロスと姿かたちが近寄った白色の人型怪獣で、史郎も彼が「白色のイカロス」で「イカロス」の仲間だと思い込んでいました。しかし、一色は「イカロス」ではなく、イカロスの活動を批判し怪獣の人権保護を訴える団体・オレンジの一員として、怪獣にとって住みやすい世界を作るために活動していました。
イカロスの真実を追おうとする史郎を、一色は危険だと止めます。史郎がベルちゃんを一途に想っていたように、一色もまた史郎を一途に想い続けていました。ベルちゃんの正体を受け入れられない史郎は初めは一色に冷たく接しますが、再び触れ合っていくうちに彼らの絆は深まっていきます。お互いの目的とお互いへの愛、その結末は周囲の思惑もあり思いもよらぬ方向へと進んでいきます。
史郎ルートでは、「次々と起こる怪事件」や「史郎と一色の一途な愛」といったところも魅力的でしたが、「史郎」の人間的な魅力から目が離せなくなりました。史郎は決して品行方正な善人ではありません。人のゴシップ写真を撮ったり、報酬だけ得てバックレようとしたり、目的のために正太郎が職場から追われるような噂を流したりもしますし、表向きは笑顔で丁寧に振る舞っていても裏では乱暴で不遜な態度をとったりと、決して褒められるような人間ではないと思います。特に正太郎ルートをプレイ後だと、正太郎が温厚で優しく真面目な人柄である分、それが顕著に感じられます。
しかし、本業ではなくできるかも分からない探偵としての依頼を受ける際に依頼人の悔しさや悲しみに対する優しさが垣間見えたり、幼い頃から一途に想い続けているベルちゃんへの純粋な愛情だったり、自分が愛する者や信じることへ真っすぐな姿勢、愛する人へのいじらしい行動など、物語を進めるうちに史郎の良いところがどんどん見えてきます。ダメなところや人間くさいところは勿論、純粋でキレイなところ、可愛らしいところ、芯の強いところなど、いつの間にか史郎の人間性を好ましく思う様になっていました。
他の二人の主人公「正太郎」と「十郎」も、「十郎」はわずかでしたが、やはり登場しました。正太郎ルートで史郎が登場した際の史郎の背景や思惑だけでなく、正太郎目線では知りえなかったことも知ることができたりと、非常に面白い構成になっていました。最後の主人公「十郎」は「正太郎」や「史郎」のルートでは僅かにしか登場しておらず、彼の人物像も恋愛対象の「夜美」の正体も謎が多いため、プレイするのが待ちきれません!