概要

ADELTAから2020年にリリースされたPC向け昭和×ヒーロー×大怪獣R18BLG
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みんなを守る正義のヒーロー「十郎」の孤独と愛の物語

※注意※
『古書店街の橋姫』を制作した「ADELTA」から発売になった最新作「ウウウルトラC」の第三話プレイ終了後の感想になります。

三人目の主人公、太陽仮面イカロスを演じる俳優「十郎」ルートをプレイしました。これにて本作のプレイを終了しました。

十郎ルートは「孤独」が一つのテーマだと感じました。

十郎は、ドラマヒーロー「太陽仮面イカロス」を演じる名俳優でもあり、リアルでも怪獣から人々を守る「戦隊イカロス」のリーダーでもあります。端正な顔立ちに落ち着いた品のある言動、人々を守る強さ、家族や仲間を思い遣る姿勢、相手の立場を組む思慮深さなど、正に非の打ち所がない人間であり、ヒーローでもありました。

両親や叔父を亡くしながらも夜美やタロウという優しい家族がいて、名俳優として地位も名誉もお金もあり、戦隊イカロスでは個性的ながらも頼もしい仲間に囲まれ、国民的アイドルの可愛らしい許婚もいる。

一見何不自由なく満たされているように見える十郎ですが、いつも「寂しそう」に、「孤独」を抱えているように見えました。その孤独は、十郎が「名俳優」「頼れるイカロスのリーダー」「素敵な許婚」という「仮面」をかぶり、誰かが人々が皆が望むように、期待するように「演じて」いたからなのかなと思います。十郎は『みんなは仮面の下の僕を愛してくれることはなかった』と語ります。

そんな十郎がたった一人求めたのが幼馴染の「夜美」です。しかし、夜美は地球の外から地球を滅ぼそうとやってきた宇宙人で、身の回りの世話をしたり優しく接しながらも、十郎からの愛を拒否し、十郎を突き放し、嫌われるよう画策します。

夜美は地球の人間とは異なる種族ですから愛も情も人間とは違うようですが、夜美は夜美で愛する者を失う「恐怖」とその「孤独」を想う程に、十郎を深く愛していました。もともと地球上には同種もおらず孤独だったでしょうが、宇宙人として永い命を生きる夜美にとって、人間の一生はあまりにも短く、いつかくる老いた十郎との別れに不安や恐れを感じていました。

十郎ルートは他のルートに増して難解だと感じますが、後日談やFAQを読んでから再度プレイすると、十郎と夜美の言動が一周目で見た時とは違った見え方になり、とても胸に迫るものがありました。『次は青い花に生まれ変わろう』と語る十郎に、『本当になってくれますか』と問う夜美。二人の「孤独」と「愛」が詰まった場面です。是非、本編プレイ後は後日談とFAQもプレイしてみてください。

本作には「正太郎」「史郎」「十郎」の三人の主人公が登場し、「昭和」「怪獣」「ヒーロー」といった同じテーマをベースにしながらも、「日曜王道アクションストーリー」「怪奇ミステリー」「戦隊ヒーロー物」と全く異なるドラマが展開されました。ある主人公のドラマで他の主人公と対立し、誰かの正義は他の誰かの敵になることもあります。たどり着いたエンディングが、登場人物みんなにとってハッピーとは限らないこともあります。でも、そんなそれぞれが求めるものが違い、他の立場から見れるからこそ、より一層本作は魅力的だと感じました。

怪獣、ヒーロー、戦隊ものや群雄割拠する物語がお好きな方は、是非プレイしてみてください!